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横浜 マンションのノースカロライナ州で発見された渦鞭毛藻。タイプ種である P. piscicida が産生する毒素はエアロゾルとして気相に放出され、人体にも影響を及ぼすと言われている。当初は Pfiesteria の正体が掴めず、生息域の近隣住民からは“phantom dinoflagellate”と呼ばれ恐れられた。P. piscicida は名前の通り魚を殺してその血球などを捕食する。毒素は2007年に同定された[12]が名前はまだ付いていない。
同属の P. shumwayae も毒性が疑われたが、これについては毒ではなく、細胞が魚へ直接攻撃を仕掛けているのだという説もある[13][14]。いずれの Pfiesteria についても、その有毒性や生活環を巡っては様々な意見・議論があり、収束していない。詳細はフィエステリアを参照。
Prorocentrum 属
付着性の P. lima (Ehrenberg) Dodge がオカダ酸を産生する。この藻類はシガテラの発生域に多く分布しており、Gambierdiscus とともに魚の毒化との関連性が示唆されている。
Protoceratium 属
SEOであるイェッソトキシンを産生する渦鞭毛藻。この毒素は従来 Dinophysis に由来すると思われていたが、1997年に P. reticulatum (Claparede et Lachmann) Butschli が産生元である事が報告された。[15]
Protoperidinium 属
P. leticulatum など一部の種が下痢性貝毒であるアザスピロ酸を産生する[16]。
Pyrodinium 属
熱帯地域を中心として、麻痺性貝毒を産生する渦鞭毛藻。特に問題となる種は P. bahamense var. compressum (Bohm) Steindinger, Tester et Taylor である。発達した鎧板と明瞭な縫合線を持つ。本種はシストを形成し、海底に堆積することも報告されている[17]。
本種が有毒種として認識されたのは1970年代であるが、シストの調査によれば1800年代から既に東南アジアに広く分布していた事が明らかとなっている。1983年にはフィリピンで本種の赤潮が発生しており、その後も生息域を拡大している[18]。
有毒渦鞭毛藻が産生する主な毒素を示す。個別の記事があるものはそちらも参照のこと。
サキシトキシンサキシトキシン (saxitoxin; STX)
アルカロイドの一種で、麻痺性貝毒に分類される毒である。分子量299.29、CAS登録番号35523-89-8。1975年に構造が決定された。フグ毒として有名なテトロドトキシンと同様の作用機序を持ち、電位依存性ナトリウムチャネルをブロックして活動電位の発生と伝播を抑制する。熱に対して安定であり、一般的な調理では分解しない。ネオサキシトキシン(neosaxitoxin; nSTX)、ゴニオトキシン(gonyautoxin; GTX)、スルガトキシン(surugatoxin)、プロスルガトコシン(prosurugatoxin)、ネオスルガトキシン(neosurugatoxin)、ゴニオトキシン(gonyautoxin; GTX)など約30種の誘導体が知られている。
ディノフィシストキシン (dinophysistoxin; DTX)
下痢性貝毒。後述するオカダ酸の誘導体である。分子量は800前後。
オカダ酸 (okadaic acid)
モバイルSEOに分類されるポリエーテルである。分子量804.9、CAS登録番号78111-17-8。脱リン酸化酵素の活性を阻害することで毒性を示す。摂取したヒトに現れる症状は下痢が主である。副次的な影響として、脱リン酸化が滞ることでリン酸化されたタンパク質が蓄積し、発ガンを促進するという報告もある[19]。
イェッソトキシン (yessotoxin; YTX)
下痢性貝毒に分類されるポリエーテル。経口毒性は低く、中毒事例は報告されていない。下痢性貝毒から除外すべきとの意見もある。
ブレベトキシン (brevetoxin; BTX)
ブレベトキシンA神経性貝毒に分類されるポリエーテル。分子量は900前後、10の異なる誘導体が知られている。麻痺性貝毒とは逆に、ナトリウムチャネルの過度の活性化を促して正常な神経伝達を阻害する。1981年、中西香爾らのグループによって構造が決定された[20]。
パリトキシン (palytoxin)
パリトキシンシガテラを引き起こす毒素。名前は最初の分離元であるイワスナギンチャクの属名(Palythoa)に由来する。分子量2680.13の巨大分子で、ナトリウムチャネルに作用して毒性を発揮する。イオン輸送性ATPアーゼに対して特異的作用を持つという報告もある[21]。毒化されるものはアオブダイの他、カワハギ科・モンガラカワハギ科の魚が知られている。
シガトキシン (ciguatoxin; CTX)
シガトキシン CTX1B後述のマイトトキシンと共に Gambierdiscus toxicus が産生するシガテラ毒の代表。シガトキシンは水溶性、マイトトキシンは脂溶性である。分子量1111、CAS登録番号11050-21-8。ポリエーテルよりなる神経毒であり、作用機序もブレベトキシンと同様ナトリウムチャネルの活性化による。シガトキシンは普通CTX1Bと呼ばれるものを指すが、これが魚類の体内で種々の誘導体に変換され、毒性が増すと言われている[22]。
マイトトキシン (maitotoxin; MTX)
マイトトキシンシガテラを引き起こす毒素。分子量3422、CAS登録番号59392-53-9。生体高分子以外では既知の最大の生体分子である。構造は1996年に決定された[23][24]。マイトトキシンは細胞膜のカルシウムチャネルに作用し、カルシウムイオンの透過性を上昇させる。細胞内のカルシウムイオンはトロポニン等を介して筋肉を収縮させる役目を担っており、この濃度勾配が撹乱されると筋肉の異常収縮が起きる。海産の毒素としては最も毒性が高い部類に含まれる。
ペクテノトキシン (pectenotoxin; PTX)
ホタテガイ(Patinopecten yessoensis)から単離され、その名が付けられた毒素。渦鞭毛藻が産生した後、これを摂取した貝の中でペクテノトキシン2-セコ酸など幾つかの誘導体に変換される。アクチンの脱重合作用を持つほか、ヒトに対しては肝臓毒性を示す。
アザスピロ酸(azaspiracid; AZA)
1995年に同定された下痢性貝毒。環状アミンを含むポリエーテルである。同年にオランダで食中毒が発生し、これがアイルランド北西岸のキラリー湾産のイガイ類によるものであったことから発見された。1997年・2001年などその後もアイルランドを中心にヨーロッパで被害が報告されている。
渦鞭毛藻による赤潮。Scripps Institution of Oceanography提供。赤潮のような有毒渦鞭毛藻の大量発生時には、種の早期識別が要求されるとともに魚介類への餌止め、可能であれば赤潮からの避難が行われる[25]。渦鞭毛藻の識別は光学顕微鏡による観察のほか、リボソームRNAをターゲットとした蛍光プローブによるFISH法なども開発されている[26]。ただし魚介類の毒化は赤潮を伴わずに起こる場合もあり、毒化の予防や予測は困難である。最終的には各都道府県の登録検査機関[27]が水産物に対して貝毒検査を行い、毒素の有無を判別している。
一方シガテラに関しては、食中毒の報告は多いものの有効な対策が取られていない。理由としては、原因となる渦鞭毛藻が固着性であり発生の状況を把握しづらいこと、毒の定量が難しいこと、加えて発生海域の多くが開発途上国の領海であり監視体制が整っていないことなどが挙げられる。
Gymnodinium 属
麻痺性貝毒を産生する渦鞭毛藻。本邦近海では G. catenatum Graham などが出現する。従前は Karenia 属がここに含まれていた。
Karenia 属
神経性貝毒(neurotoxic shellfish poisoning; NSP)を産生する渦鞭毛藻。カレニア・ブレビス(K. brevis (Davis) Hansen et Moestrup)や K. mikimotoi (Mikyake et Kominami ex Oda) Hansen et Moestrup が代表的である。毒はブレベトキシンである。本属は以前は Gymonodinium 属に含められていたが、2000年に分離された[8]。
K. brevis による貝毒の被害は北米とニュージーランドで発生している。前者では魚およびマナティーの大量死が報告されている。後者では1992年に300名近い食中毒患者を出した[9]。本邦では東京湾などで K. brevis、K. mikimotoi ともに確認されている[10][11]ものの、食中毒の発生報告は未だ無い。カレニア・ブレビスも参照。
Ostreopsis 属
O. lenticularis や O. siamensis がパリトキシンを産生する。細胞の姿形が前述の Gambierdiscus toxicus に似ているのでしばしば混同されるが、遊泳法や鎧板配列が異なることで区別できる。